海辺のカフカ (下) (新潮文庫) 価格: 780円 レビュー評価:4.0 レビュー数:76 「あの頃は何も考えなくてよかった、と彼は思った。ただそのまんま生きていればよかったんだ。生きている限り、俺はなにものかだった。自然にそうなっていたんだ。でもいつのまにかそうではなくなってしまった。生きることによって、俺はなにものでもなくなってしまった。そいつは変な話だよな。人っていうのは生きるために生まれてくるんじゃないか。そうだろう?それなのに、生きれば生きるほど俺は中身を失っていって、ただの空っぽな人間になっていったみたいだ。」
個性的で、読み始めたら止まらず、読後にいろいろなものを残す作品を名作と呼んでいいとすると、この小説はその条件を満たしている。
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海辺のカフカ (上) (新潮文庫) 価格: 740円 レビュー評価:4.0 レビュー数:155 15歳の少年の家出。そこから物語の扉が開く。実はかなり不思議な話だ。最初は、現実的な話のように思える。それがすこしづつ、そうとは思われないエピソードが絡んで境界があいまいになってゆく。
主人公の少年。カラスと呼ばれる少年。ナカタさん。関係を示唆する2つの世界。中野区、山梨県、高松。細部の描写にこだわった平易な文体。神社、銀色の物体、猫、図書館、血、シューベルト、高知の森、ロードスター。
多くの謎と暗示。予感。効果的な小道具の配置。よく練られた写実的な表現力。静と動。細やかな心理描写。ありそうなこと、そうでないこと。いろいろなシーンが交差する |
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世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) 価格: 620円 レビュー評価:4.5 レビュー数:78 僕は春樹作品の中では、初期の感傷的な作品群やポップな短編・エッセイ群よりも、特に90年代半ばから連発されてきた、「世界」の闇に関する暗く重い小説の方を支持する立場だ。ファンの間では春樹の最高傑作に挙げる声も多い本作は、2009年春号「モンキー・ビジネス」のインタビューで作家本人が語っているように、後者のダーク作品の系譜に位置する作品である。
一見捉えどころの無いストーリーの中に、言葉で表現不可能な「感情」をイメージとして埋め込んで伝えていくことに意識的なこの作家が、自意識と「世界」および無意識の狭間、情報化社会、都市(と日本)の暗黒、等などの暗いモチーフを「世界 |
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫) 価格: 580円 レビュー評価:4.5 レビュー数:48 メカニカルでアップテンポな物語と、寓話的な物語がエンディングに向けてリンクし始める様が脳を刺激します。ストーリーに引きずり込まれ、集中して読んでしまいますが、一度では作家の真意は掴めないのでは?掴めない僕は、何度読めばその真の世界観を共有できるのでしょうか。 |
冬の夢 価格: 1,890円 レビュー評価:4.0 レビュー数:2 フィッツの若き日の作品群。
懐かしさを超えた古き米国の出来事。
村上さんの翻訳を経て、みずみずしく蘇った。
じっくりと読み返したい作品群だ。 |
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マジカル・ミステリー~トリビュート・セロニアス・モンク&村上春樹~ 価格: 2,800円 レビュー評価:2.0 レビュー数:1 ギターという楽器&ジャズ・ギターの魅力を再確認~ 北川拓の記念すべき初リーダー・アルバム~ この作品に出会って、まずそのギターの音色の美しさに感動した。そして、あくまでも自然に、流麗に漂うようなメロディが心を打つ。 1965年に東京・高円寺で生まれ、12歳でギターを始め、15歳より「メイト音楽院」にて小塚泰氏に師事。21歳で同校の講師となり、その頃から演奏活動を始めたという北川拓。ギターを始めた頃はフォーク~ビートルズに熱中し、本格的に演奏活動を始めるとラリー・カールトン~ジョー・パス等に傾倒していったという。その後、ビ・バップの呪縛に捕らわれ方向性を見失うも、「ギ |
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「象の消滅」 短篇選集 1980-1991 価格: 1,365円 レビュー評価:5.0 レビュー数:30 ほとんどが繰り返し読んだ話なのに、順番を並べ変えるとこんなに違うものかと感心すると同時に、アメリカ人の日本のファンとの目線の違いが面白い。
永年の愛読者を自認する方々にもお勧めです。
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